百人一首に見る音長律の入れ子構造 (4)

百人一首に見る音長律の入れ子構造 (4)

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▼ 2011年6月6日(月) 19:42:40

音の数を整えてリズム感を創り出す音数律と、音の長さを整えてリズム感を創り出す音長律が組み合わされた様子を１回目と、２回目で見てきました。

３回目は、文節を単位とした意味の切れ目で音が引き伸ばされる様子でした。

百人一首に見られる音長律の最後は、文節をさらに分節化した音長律です。

次の図の赤いところが文節をさらに分節化したときの音の引き伸ばされたところ。

「鵲の・・・」の歌では次のようになっている。

さて上の１３個に分割された区間の音長を細かに見ると、気付くことがある。

こうした特徴を持つ音長律の最小単位を音律素（あるいは単に音律）と呼ぶことにした。

百人一首にある音律素の音長リズムを調べたところ、次の図のようになった。

表の数字は音の長さの平均値

音律素は最小で２音からなり、最大で５音であることがわかる。
音律素の中では次第に音が長くなっていて、最後の音が一気に伸びている。
ｉ音律のｊ番目の音の長さを S (i, j) で表すと

２音律と３音律の末尾音に比べて、４音律と５音律の末尾音が目だって長い。
これは、１回目で見た上下句末音の長さの影響が入っていると思われる。

そこで、上下句末音を除いたものだけでグラフにしたものが次の図。
すると、音律素の末尾音の伸長傾きが音数によらずに似通った傾向を持つことが明らかとなった。

次に、上下句末音を含む音律素だけで図にした。
これも、音律素の末尾音の伸長傾きが音数によらずに似通った傾向を持つことが明らかとなった。

百人一首朗詠音長律の規則 (4)

文節は、音長が次第に伸長する音律素に分節化される。

ところで、文節がさらに音律素に分節化されるその有様にも特徴が見られる。
それについては、別の機会に譲る。

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