百人一首に見る音長律の入れ子構造 (1)

百人一首に見る音長律の入れ子構造 (1)

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▼ 2011年6月6日(月) 09:31:27

これから何回かに分けて百人一首で見られた音長律のパターンについて詳しく見ていきます。

下の図は「かささぎの渡せる橋に置く霜の白きを見れば夜ぞ更けにける」の波形と声紋ですが、上句と下句の最後の部分が朗々と詠じられています。

音声を物理的に見たときの特徴は、大きさ（強弱、上図の波形で振れの大小）、周波数（音色、上図下段の縞模様）、長さ（音や休止の継続時間）などです。音長律はこれら３要素のうちの長さについての規則性です

そこで１回目は、この一番大きな構造を詳しく見ます。
下の図は５７５７７の１音ごとの長さを棒グラフにして順に並べたものです。
赤い部分が上句と下句の最終音です。

下の図は百首の平均値。
上下句の末尾にあたる第３句と第５句が圧倒的な迫力を持っている。

句の伸び率を計算すると、ともに３倍弱となっている。

２句から３句　4.9 / 1.8 ＝　2.7 倍

４句から５句　6.7 / 2.3 ＝　2.9 倍

次の図は、句ごとの１音あたり平均時間。
句の位置によって、１音１音の長さ（平均値）がコントロールされていることがわかる。

これが、百人一首朗詠の独特の印象を創り出しているのだった。

百人一首朗詠音長律の規則 (1)

上下句末が引き伸ばされる。

次回は、５７５７７のリズムを見る。
⇒百人一首に見る音長律の入れ子構造 (2)

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