千葉県茂原の車連判状

千葉県茂原の車連判状

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五万石騒動研究会の議長を務める萩原さんが、会合で紹介してくれた「百姓の主張 - 訴訟と和解の江戸時代」（渡辺尚志著、柏書房）をお借りした。そのなかに車連判があったので、ここに紹介する。

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これは上総国長柄郡北塚村（戸数49、現千葉県茂原市北塚）の農民27人が、領主村田長庵の江戸屋敷に押しかけて手渡した、村役人の人事をめぐる願書の末尾にある署名である。

高崎の車連判状と比べてみた

まず、高崎藩各村と北塚村について

	高崎藩	北塚村
時代	1869年＝明治2年	1835年＝天保6年
	明治維新期	天保の飢饉
領主	高崎藩	旗本
	幕府官僚	幕府表御番医
	8万石（高崎は5万石）	582石（北塚村は162石）

つぎに、願書での訴えの内容などについて

	高崎藩	北塚村
内容	減納、税制改革	村役人の人事
規模	50数ヵ村	1村
提出	4～5千人	27人
	高崎城大手門前	江戸屋敷門前

最後に、車連判状そのものについて

	高崎藩	北塚村
	クリックで拡大	クリックで拡大
提出先	大総代	領主
目的	大総代選出に伴う村人の契約の明かし（誓い）	願書の差出人署名
署名者	家長	家長
捺印	ある	ない

北塚村の連判は、領主に提出する願書末尾の差出人一覧を、通常の文書類のように横に順に並べるものではなく、丸く書いていることが特徴である。これは、起草者や指導者が文書それ自身からは判明しない（証拠として残らない）と言う目的が大きいのではないかとと考えられる。

高崎藩の連判は、農民運動の指導者に選出した大総代に対して提出したものである。これは、自分たちの代表として命がけの闘いの先頭に立ってもらうことに対して、農民たちの支持と応援、指導への信頼と服従を誓ったものであろう。

丸く書くことで、農民一人一人が同じ立場に立って戦うとの決意を表明し、契約したものと考えられる。

江戸後期の自立した農民像を、車連判状に見ることができる。

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