古図で読み解く高崎城下押し寄せ門訴その２

古図で読み解く高崎城下押し寄せ門訴その２

高崎五万石騒動研究会では隔月で、根本資料である細野格城（明治末年）の著作読書会を持っている。今日の読書会でようやく、城下押し寄せのところに差し掛かった。そこで、あらためて、当時の行動を現在の地形に合わせて理解するために、古地図と現在図の比較を作成した。それが下図である。

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天皇の森を出発した４千の隊列は、今の高島屋とビブレの間の通りを西に進み、城下に入る入り口であった通町木戸（Ｅ）を押し通ってそのまま真っ直ぐ進んだ。突き当りを右折して、今の慈光通りに出る。当時はその右手に通りを塞ぐ形で安国寺（Ｄ）があった。その門前の向かい側が高崎城の追手門に向かう直線コースで、その入り口には、再び木戸（Ｃ）があった。今のプラザホテルの角の信号の所である。

農民たちはこの木戸を押し倒して城に向かい、今の連雀町交差点で天下の往来中仙道を横断し、最後の関門となる升形木戸（Ｂ）に迫る。この木戸の先に、目指す広小路の芝（Ａ）があるのだった。農民たちはこの芝に陣取り、要求貫徹まで座り込むと言う計画であったが、無念にもここで城方の兵力に阻止されてしまう。

追手門に向かう直線コースの両側は、商店街であった。お城の門前と言うこともあり、箕郷から引き連れてきた御用商人など、古参の商人を中心に固められていたのだった。ところが、その商人たちが率先して、農民の隊列を受け入れ、田楽や飲料水を提供し、さらには釜を築いて炊き出しまで行うと言う連係プレーに発展することとなるとは、当の農民たちにも知る由がなかった。

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執筆：諸星蝸牛 2009.07.25